アシュタンガ・ヨガとは?
アシュタンガ(Ashtanga)は、サンスクリット語で「八支」を意味します。「アシュタ(Ashta)」は「八」、「アンガ(Anga)」は「支」を意味し、ヨガの八つの実践段階を示しています。これらの八つの段階は、ヨガの聖典『ヨーガ・スートラ』に基づいています。
ヨガ(Yoga)は、「結びつける」「一つにする」を意味し、心身の調和と統一を目指す実践です。
アシュタンガヨガは、インドのヨガ指導者、K. Pattabhi Joisによって広められました。このスタイルは、力強くダイナミックな動きが特徴で、定まったシークエンスに従ってポーズを連続して行います。
アシュタンガヨガは、規律を持って練習することで、身体的な変化だけでなく、精神的な成長も促す強力なヨガのスタイルです。
2. 八支(Ashtanga)の内訳
アシュタンガヨガの八支は、ヨーガ・スートラに基づく八つの段階であり、それぞれがヨガの実践において重要な役割を果たします。
2.1 ヤマ(Yama)
語源: サンスクリット語で「禁戒」を意味します。
意味: ヤマは、道徳的な行動規範を指し、社会的な調和と個人的な倫理を重んじる教えです。以下に、主要なヤマの項目を詳しく解説します。
アヒンサー(Ahimsa):非暴力
- 意味: 非暴力。すべての生き物に対する暴力を避けること。
- 実践例: 人に対して暴力を振るわないだけでなく、動物や自然環境にも配慮すること。
サティヤ(Satya):真実
- 意味: 真実。真実を語り、誠実であること。
- 実践例: 嘘をつかない、正直なコミュニケーションを心がけること。
アスティヤ(Asteya):不盗
- 意味: 不盗。盗みを避けること。
- 実践例: 他人の物を盗まないだけでなく、時間やアイデアも尊重すること。
ブラフマチャリヤ(Brahmacharya):節制、禁欲
- 意味: 禁欲。性的エネルギーを節制し、精神的な成長に向けること。
- 実践例: 性的な節度を保ち、エネルギーを創造的な活動に使うこと。
アパリグラハ(Aparigraha):不貪ふどん
- 意味: 不貪。物欲を控え、必要以上の所有を避けること。
- 実践例: シンプルな生活を心がけ、必要なものだけを持つこと。
2.2 ニヤマ(Niyama)
語源: サンスクリット語で「遵守」を意味します。
意味: ニヤマは、内面的な規範を指し、自己修養と精神的な成長を促す教えです。以下に、主要なニヤマの項目を詳しく解説します。
シャウチャ(Shaucha):清浄
- 意味: 清潔。身体と心の清潔を保つこと。
- 実践例: 毎日の入浴や心の浄化を意識すること。
サントーシャ(Santosha):感謝、知足
- 意味: 満足。現状に満足し、感謝の心を持つこと。
- 実践例: 今あるものに感謝し、欲望を抑えること。
タパス(Tapas):自己鍛錬
- 意味: 自己鍛錬。自己規律を持ち、努力を続けること。
- 実践例: 毎日のヨガ練習や健康的な生活習慣を守ること。
スヴァディヤーヤ(Svadhyaya):自己学習、聖書、読書
- 意味: 自己学習。聖典の学習や自己探求を続けること。
- 実践例: ヨガの書物を読む、自分自身についての洞察を深めること。
イーシュワラプラニダーナ(Ishvara Pranidhana):瞑想、祈り
- 意味: 献身。神や高次の存在に対する信仰と献身。
- 実践例: 瞑想や祈りを通じて高次の存在に心を捧げること。
2.3 アーサナ(Asana)と主要なアーサナ5つ
語源: サンスクリット語で「座る」を意味します。
意味: アーサナは、体のポーズを指し、柔軟性と筋力を養い、心身の調和を図ることを目的とします。以下に、主要なアーサナを詳しく解説します。
ターダアサナ(Tadasana):山のポーズ
- 意味: 山のポーズ。基本的な立位のポーズ。
- 実践例: 足を揃えて立ち、背筋を伸ばし、両腕を自然に体側に下げる。
アド・ムカ・シュヴァーナアサナ(Adho Mukha Svanasana):下向きの犬のポーズ
- 意味: 下向きの犬のポーズ。逆転のポーズの一つ。
- 実践例: 手足を床につけ、体を逆V字型に持ち上げる。
ウッタナーサナ(Uttanasana):前屈のポーズ
- 意味: 前屈のポーズ。背中と脚のストレッチ。
- 実践例: 立位から前屈し、手を床に近づける。
ヴィーラバドラアサナ(Virabhadrasana):戦士のポーズⅠ
- 意味: 戦士のポーズⅠ。力強さと安定性を養う。
- 実践例: 前脚を曲げ、後脚を伸ばして立ち、両腕を肩の高さに広げる。
シャヴァアサナ(Savasana):屍しかばねのポーズ
- 意味: 死体のポーズ。リラックスと瞑想のポーズ。
- 実践例: 仰向けに横たわり、全身の筋肉を完全にリラックスさせる。
※あらゆるアーサナを行った後は、このポーズで最低でも15分は心身を休ませます。動画にて紹介していくつもりです。少々お待ちください。
2.4 プラーナーヤーマ(Pranayama)
語源: 「プラーナ」は「生命エネルギー」、「アーヤーマ」は「制御」を意味します。
意味: プラーナーヤーマは、呼吸法を指し、エネルギーの流れをコントロールし、集中力を高めることを目的とします。以下に、主要なプラーナーヤーマのテクニックを詳しく解説します。
ウジャイ呼吸(Ujjayi Pranayama):
- 意味: 勝利の呼吸。喉を軽く締めて行う深い呼吸法。
- 実践例: 喉の後ろを軽く締めて、深くゆっくりと呼吸を行う。
ナーディショーダナ(Nadi Shodhana):
- 意味: 浄化呼吸。交互に鼻孔を使う呼吸法。
- 実践例: 右鼻孔を閉じて左鼻孔から吸い、左鼻孔を閉じて右鼻孔から吐く。
カパラバティ(Kapalabhati):
- 意味: 頭蓋の輝き。腹部を使った速い呼吸法。
- 実践例: 腹筋を使って短く速い息を吐き、自然に吸う。
ブラーマリ(Bhramari Pranayama):
- 意味: 蜜蜂の呼吸。ハミング音を伴う呼吸法。
- 実践例: 鼻孔から息を吸い、口を閉じてハミング音を出しながら息を吐く。
※これらの呼吸法については、今後動画にてすぐに真似しやすいように、わかりやすく撮影、解説しているシーンを投稿したいと考えています。ご期待ください!
2.5 プラティヤハーラ(Pratyahara)
語源: 「プラティ」は「逆」、「アハーラ」は「摂取」を意味します。
意味: プラティヤハーラは、感覚の制御を指し、外部の刺激から心を引き戻し、内面に集中することを目的とします。以下に、プラティヤハーラの実践方法を詳しく解説します。
- 感覚の引き戻し:
- 実践例: 静かな場所で瞑想し、外部の音や視覚的な刺激を遮断する。
- 内面への集中:
- 実践例: 呼吸や心拍に意識を向け、内面的な感覚に集中する。
2.6 ダーラナ(Dharana)
語源: サンスクリット語で「集中」を意味します。
意味: ダーラナは、集中力の訓練を指し、一点に心を集中させることを目的とします。以下に、ダーラナの実践方法を詳しく解説します。
- 一点集中:
- 実践例: キャンドルの炎や特定のシンボルに視線を集中させる。
- マントラの繰り返し:
- 実践例: 一つのマントラを繰り返し唱えることで、心を安定させる。
2.7 ディヤーナ(Dhyana)
語源: サンスクリット語で「瞑想」を意味します。
意味: ディヤーナは、瞑想を指し、深い集中状態に入ることで心の静けさを得ることを目的とします。以下に、ディヤーナの実践方法を詳しく解説します。
- 瞑想の準備:
- 実践例: 静かな場所でリラックスした姿勢を取る。
- 瞑想の実践:
- 実践例: 呼吸に意識を向け、心を静かに保つ。
2.8 サマーディ(Samadhi)
語源: サンスクリット語で「統合」を意味します。
意味: サマーディは、解脱を指し、心身が完全に一体となり、至福の状態に達することを目的とします。以下に、サマーディの実践方法を詳しく解説します。
- 心の統合:
- 実践例: 長期間の瞑想と集中を通じて心を完全に統合する。
- 至福の体験:
- 実践例: 瞑想中に深い安らぎと喜びを感じる。
3. アシュタンガヨガの主要要素
3.1 ヴィンヤサ(Vinyasa)
語源: サンスクリット語で「配置」を意味します。
意味: ヴィンヤサは、呼吸と動きを連動させる流れを指し、アーサナ間をスムーズに移行します。以下に、ヴィンヤサの実践方法を詳しく解説します。
- 呼吸と動きの連動:
- 実践例: 吸う息で腕を上げ、吐く息で前屈するなど、呼吸と動きをシンクロさせる。
- 動きの流れ:
- 実践例: アーサナを連続して行い、一つのポーズから次のポーズへスムーズに移行する。
3.2 トリスターナ(Tristhana)
語源: サンスクリット語で「三つの場所」を意味します。
意味: トリスターナは、アーサナ、呼吸、視線の三つに集中する方法を指します。以下に、トリスターナの実践方法を詳しく解説します。
アーサナの安定:
- 実践例: ポーズを正確に行い、体の安定を保つ。
呼吸の調整:
- 実践例: 深くゆっくりとした呼吸を保ち、エネルギーの流れを調整する。
視線の固定:
- 実践例: 特定の一点に視線を固定し、集中力を高める。
3.3 ウジャイ呼吸(Ujjayi)
語源: サンスクリット語で「勝利の呼吸」を意味します。
意味: ウジャイ呼吸は、喉を軽く締めて行う深い呼吸法を指し、練習中に安定した呼吸を維持します。以下に、ウジャイ呼吸の実践方法を詳しく解説します。
- 喉の締め具合:
- 実践例: 喉の後ろを軽く締めて、深くゆっくりとした呼吸を行う。
- 呼吸の音:
- 実践例: 呼吸中にやや音を立てることで、集中力を高める。
3.4 バンダ(Bandha)
語源: サンスクリット語で「縛る」を意味します。
意味: バンダは、エネルギーのロックを指し、ムーラバンダ、ウディヤナバンダ、ジャーランダラバンダの三つの主要なバンダがあります。以下に、バンダの実践方法を詳しく解説します。
ムーラバンダ(Mula Bandha)
- 意味: 根のロック。骨盤底の筋肉を締める。
- 実践例: 骨盤底の筋肉を引き上げるように締める。
ウディヤナバンダ(Uddiyana Bandha):
- 意味: 腹部のロック。腹筋を引き上げる。
- 実践例: 息を吐ききった後、腹筋を引き上げる。
ジャーランダラバンダ(Jalandhara Bandha):
- 意味: 喉のロック。顎を胸に引き寄せる。
- 実践例: 顎を軽く胸に引き寄せて、喉の後ろを締める。
4. 実践の心得とアドバイス
アシュタンガヨガを実践する際の心得とアドバイスを以下にまとめます。
継続的な練習:
- アシュタンガヨガは継続的な練習が重要です。毎日の練習を心がけましょう。
自己ペース:
- 自分のペースで進めることが大切です。無理をせず、体と相談しながら練習を進めましょう。
指導者の指導:
- 初心者のうちは、経験豊富な指導者の指導を受けることをおすすめします。
リラクゼーション:
- 練習後は必ずリラクゼーションを行い、体と心をリラックスさせましょう。
5. まとめ
アシュタンガヨガは、体系的に構築されたヨガの実践法で、身体的な強さと柔軟性を養い、精神的な集中力と安定感を高めることができます。
一歩一歩、八支の教えを学びながら、日々の練習を通じて心身の調和を目指しましょう。初心者にとって、難しいと感じることもあるかもしれませんが、大丈夫です。
何よりも、楽しみながら続けることが大切です。これからのヨガの旅が、豊かで実りあるものとなりますように!
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皆さんのヨガライフが充実するように応援しています!
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